ヴィルトゥオーゾ

【およそ派手なばかりで内容のない売り物は、時代と共に流れてしまう。技巧は、より高い目的に奉仕している時だけ、価値がある。】(シューマン:音楽の座右の銘より)

 シューマンの時代はヴィルトゥオーゾのもてはやされた時代で、聴衆は彼らの圧倒的なテクニックに熱狂しました。代表選手であるリストはその芸術性の高さから例外的に現代にも通用する天才ですが、他にもカルクブレンナー、タールベルク、ヘンゼルト、ヘラー等、そして今では名前も忘れられてしまった多くのヴィルトゥオーゾ・ピアニストたちが活躍していました。彼らは技巧をひけらかすための目的で、音楽的内容の低い娯楽的作品を乱造し、シューマンやショパン等が及ばないほどの絶大な人気を博していました。

そんな当時の音楽界に対してシューマンは非常な憤りを感じており、繰り返し批判していますが、その正当性はまさに時代の流れによって証明されたと言えるでしょう。


# by boscopiano | 2019-02-15 22:44

教材選び

【ビスケットやお菓子のような甘いものでは、子供を健全な大人に育てられない。精神の糧も肉体の糧と同じく素朴で力強くなければならない。大家といわれるような人は、このことに充分気を配っていた。こうした栄養をとること。—】(シューマン:音楽の座右の銘より)

 シューマンの言う通り、基礎的な訓練は確かに退屈で面白みを感じにくいかもしれません。あるいはバロック時代の大家の作品等は、子供にとっては難しく感じられるのも事実でしょう。しかし技術の習得のためにはどちらも避けて通ることができないものなので、生徒さんが拒否反応を起こさないように指導者が上手に舵取りをして行く必要があります。

 指導者にとって何より大切なのは子供がピアノを嫌いにならないように導くことです。その意味では導入期には子供が興味を持ちやすい楽しい教材を選んであげることも有効ですね。やはり甘いお菓子も時には必要ですから。

 現在では子供のやる気を育てるために多くの新しい教則本が作られているので、生徒さんのタイプに合わせて選択できることが教師の大事な務めだと思います。


# by boscopiano | 2019-02-09 20:50

流行

【大きくなったら、流行曲など弾かないように。時間は貴重なものだ。今あるだけの良い曲を一通り知ろうと思っただけでも、百人分ぐらい生きなくてはならない。】(シューマン:音楽の座右の銘より)

シューマンの時代のいわゆる大衆的な流行曲は、その芸術性からみてクラシック音楽には遠く及ぶものではありませんでした。そのため彼はクラシック音楽が大衆受けを目指すあまりに芸術的価値を下げることを激しく攻撃しています。『新音楽時報』でもこの点に関する批評がかなりのウェイトを占めています。

 現在では音楽のジャンルがとても多様になり、むしろポップス系の音楽の方が広く世の中に浸透しており、クラシックファンの方が少数派といえるかもしれません。

 しかしクラシックを学ぶ者は時間を無駄にすることなく、膨大な貴重な作品を少しでも多く学んでいかねばならないのです。


# by boscopiano | 2019-02-03 15:46

無理な練習

【一日の音楽の勉強を終えて疲れを感じたら、もうそれ以上、無理に弾かないように。悦びも生き生きした気持ちもなしに弾くくらいなら、むしろ休んでいる方がいい。】—(シューマン:音楽の座右の銘より)

 無理な練習がたたり、手を壊してしまった彼自身の経験からでしょうか、とても含蓄のある言葉ですね。私たちも1日○時間以上は弾かなくてはいけない、という義務感でピアノにしがみつくように練習してしまいがちですよね。

体が疲れれば集中力も失われ、演奏自体に喜びも感じられなくなり、果ては体を壊しでもして弾くことができなくなってしまったら本末転倒。

かく言う私自身も音大生の時に体を壊し入院生活を強いられたことがあるのですが、今思うと練習に熱中するあまり長時間休まずにピアノを弾き続けたための体力の消耗が引き金になっていたのかもしれません。皆さんも無理な練習にはくれぐれもお気をつけください。


# by boscopiano | 2019-01-28 22:58

初見

【いつも名人に聴かせるような気持ちで弾くこと。初見の曲を弾けと言われたら、まず終わりまで眼を通すこと。】

(シューマン:音楽の座右の銘より)

練習する時もいつも真剣に集中して、自分の最良の演奏を披露する気持ちを持つことは大切です。とはいうものの練習でいつも100%の気持ちを込めるのはなかなか難しいですね。ですから練習の成果を発表できる場をたくさん持つことが必要なのです。コンクールや発表会もいいですが、レッスンで先生の前で誠実に演奏することも良い機会と言えるでしょう。

 また初めての曲を弾く「初見力」はピアニストにとってとても重要な能力です。理想的には、初めての演奏で最後までミスなく音楽的に弾き切ることが求められます。

 演奏前に楽器に触れずに最後まで楽譜に目を通すことを「予見」と言いますが、その際に曲の構成を把握しなくてはなりません。そのためには小さい頃から易しい曲で初見の習慣を身につけましょう。


# by boscopiano | 2019-01-13 22:51